株主優待が好きだ。
株を持っているだけで、自社商品や商品券、カタログギフトなどが届く。
「この会社の株を持っていてよかった」と思える、株式投資ならではの楽しみだと思う。
筆者もこれまで、株主優待を楽しみにしていくつかの銘柄を保有してきた。
しかし、そんな筆者にも「優待廃止」を経験した銘柄がある。
実際に優待廃止をきっかけに手放したのが、オリックスとタカラアンドカンパニーだ。
この2銘柄を手放した経験から、筆者の株主優待との付き合い方は少し変わった。
「配当+優待」で見ると魅力的だった
当時の両社は、中配当ながら株主優待がある銘柄だったと記憶している。
配当利回りだけを見ると、いわゆる「高配当株」とまではいかない。
しかし、株主優待まで含めて考えると、総合的な利回りはかなり魅力的だった。
配当金をもらいながら、優待品ももらえる。
株主優待が届くたびに、「この会社を持っていてよかったな」と思える。
そんな銘柄だった。
ところが、あるとき株主優待が廃止されることになった。
当然、筆者は動揺した。
「優待がなくなるなら、持っている理由が薄くなったのでは?」
そう考え、最終的に手放すことになった。
今なら、もう少し様子を見ると思う
この経験については、今振り返ると少し違った判断をしていたかもしれないと思う。
もちろん、株主優待がなくなったこと自体は事実だ。
しかし、企業が株主優待を廃止する理由は一つではない。
株主優待に使っていたコストを配当に回すこともできる。
株主への還元方法を、優待から配当へ変更するという考え方もできる。
つまり、
「優待廃止=株主還元が悪化した」
とは限らない。
当時の筆者は、そこまで決算資料やIRを読み込んで考える力がなかった。
優待がなくなる。
↓
総合利回りが下がる。
↓
では売ろう。
かなり単純に考えていたと思う。
今なら、まず「なぜ優待を廃止するのか」を確認する。
配当政策はどうなるのか。
業績はどうなのか。
会社は今後どのような株主還元を考えているのか。
そして、優待がなくなったとしても、この会社を持ち続けたいと思えるのか。
そこまで考えてから判断するだろう。
株主優待は「オマケ」と考えるようになった
この経験を経て、筆者の株主優待に対する考え方は変わった。
今では、株主優待はあくまで「オマケ」だと思っている。
もちろん、優待が魅力的な会社を選ぶこと自体は悪いことではない。
好きな商品がもらえる。
普段使うお店の割引券がもらえる。
カタログギフトが届く。
こうした楽しみも株式投資の立派な魅力だ。
ただし、
「優待があるから買う」
を投資判断の中心にはしないようになった。
株主優待は、いつ廃止されてもおかしくない。
制度変更もある。
企業の方針が変わることもある。
だから、優待だけを目当てに株を買うと、優待廃止の瞬間に「じゃあ、この株を持っている意味は?」となってしまう。
過去の筆者がまさにそうだった。
「優待がなくても10年持てるか?」
今、株を買うときに意識しているのが、
「株主優待がなくても、この会社を10年持てるか?」
ということだ。
この質問に「はい」と答えられる会社なら、株主優待がなくなったとしても、すぐに売る必要はない。
もちろん、業績悪化など別の理由があれば話は変わる。
しかし、優待だけがなくなったのであれば、
「そもそも自分はこの会社をどう評価していたのか」
に立ち返ることができる。
これはかなり大きな変化だった。
以前は「優待がある会社」を探していた。
今は「自分が10年持ちたい会社」を探して、その上で優待があれば嬉しい。
この順番になった。
優待よりも、会社そのものを見る
株主優待は、投資を始めたばかりの人にとっても分かりやすい魅力だと思う。
「株を買うと商品券がもらえる」
「自社商品が届く」
こうした分かりやすさは、株式投資への入り口として非常に優秀だ。
筆者自身も、優待には何度も楽しませてもらった。
だから、株主優待そのものを否定したいわけではない。
ただ、長く株を持つのであれば、優待以外の部分も見る必要がある。
売上は伸びているか。
利益はどうか。
財務は健全か。
配当は無理なく出せているか。
その会社には競争力があるか。
そして何より、
「この会社の株を10年間持っていたいと思えるか」
ということ。
株主優待は、その答えを出すための材料の一つにすぎない。
優待廃止は、投資家としての勉強になった
オリックスとタカラアンドカンパニーを優待廃止を理由に手放したことについて、今でも「もう少し様子を見てもよかったのでは」と思う部分はある。
ただ、後悔だけではない。
この経験があったからこそ、株主優待との付き合い方を考え直すことができた。
当時は、優待がなくなることだけを見てしまった。
今なら、その先を見る。
なぜ廃止するのか。
会社は何を考えているのか。
配当や自社株買いなど、別の形で株主還元が強化される可能性はないのか。
そして、自分がこの会社を買った理由は何だったのか。
投資を続けていると、こうした「昔の自分なら違う判断をしていたな」という経験が少しずつ増えていく。
でも、それは悪いことではないと思っている。
株主優待は、なくなっても困らないくらいがちょうどいい
今の筆者にとって、株主優待は楽しみの一つだ。
届けば嬉しい。
使うのも楽しい。
でも、なくなった瞬間に投資判断が崩れるほど、優待を重要視することはなくなった。
優待はあくまでオマケ。
主役は、あくまで会社そのものだ。
これからも株主優待銘柄を買うことはあるだろう。
ただし、買う前には自分に問いかけたい。
「この優待が明日なくなったとしても、この会社の株を持ち続けたいと思えるか?」
その答えが「はい」なら、優待はなくなっても構わない。
むしろ、そんな会社を見つけることこそが、長期投資では大切なのかもしれない。
株主優待に釣られて株を買うのではなく、会社を好きになった結果として優待がついてくる。
今の筆者は、そんな距離感で株主優待と付き合っている。

