ポイントを貯めるのが好きである。
株を買うのも好きである。
配当金が入るのも嬉しい。
株主優待が届けば、もちろん嬉しい。
現金が増えるのも嬉しい。
こうやって並べてみると、筆者はどうやら「増えること」が好きらしい。
しかし、最近ふと思う。
もしかすると筆者は、増やすことが好きなのではなく、
減らすことが苦手なのではないか。
■ 貯めるのは楽しい
ポイントは、数字が増えていくのが楽しい。
100ポイント。
500ポイント。
1,000ポイント。
「お、こんなに貯まった」
そう思うと、また貯めたくなる。
あと少しで交換できる。
キャンペーンでさらに増える。
期間限定ポイントまで加わる。
そして気づけば、
「これ、いつ使うんだ?」
という状態になっている。
前回の記事でも書いたが、ポイントには有効期限がある。
貯めるのは楽しい。
しかし使う段階になると、急に慎重になる。
せっかく貯めたのだから、できるだけ無駄なく使いたい。
「もっといい使い道があるのでは?」
などと考えているうちに、期限が迫ってくる。
貯めるゲームだったはずなのに、最後は使い切りゲームになる。
なんとも忙しい。
■ 株主優待も同じだった
株主優待もそうである。
株を持っていると、優待が届く。
「おお、届いた」
嬉しい。
しかし、その先に待っているのは「使う」という作業である。
利用できる店舗を確認する。
有効期限を見る。
使える金額を確認する。
お釣りが出るのか確認する。
何か必要なものはないか考える。
場合によっては、
「この優待を使うために、わざわざ出かける」
ということまで起こる。
もちろん、優待を使うこと自体は楽しい。
でも、使った瞬間に残高は減る。
そこがちょっと寂しい。
せっかく手に入れたものなのだから、できれば残しておきたい。
しかし、残しておけば有効期限がやってくる。
ここでもまた、
「持っていたい」と「使わなければ」が戦っている。
■ 配当金まで悩ましい
そして配当金である。
これはポイントや優待とは違って、かなり自由度が高い。
現金として受け取れる。
何に使ってもいい。
だから一見、一番簡単そうに思える。
ところが、ここでも筆者は悩む。
使うのか。
再投資するのか。
せっかく配当金をもらったのだから、何か好きなものを買ってもいい。
でも、再投資すればさらに配当を生む可能性がある。
そう考えると、使うのがもったいなくなる。
「今回は再投資しておこう」
そうやってまた株を買う。
そして次の配当金を待つ。
増える。
また増える。
そしてまた悩む。
……いつ使うんだ。
■ 含み益も「減らしたくない」
さらに面倒なのが、含み益である。
これは「使う」というより「売る」ことになる。
含み益が10万円になれば嬉しい。
50万円ならもっと嬉しい。
100万円ともなれば、
「こんなに増えたのか」
と眺めてしまう。
しかし、売ればその数字は消える。
もちろん利益は確定する。
でも、
「このまま持っていたら、もっと増えるかもしれない」
と思ってしまう。
だから売らない。
さらに株価が上がる。
含み益が増える。
ますます売れなくなる。
そして少し下がると、
「昨日より○万円減った!」
と騒ぐ。
いや、まだ利益は残っている。
それでも「減った」という事実に反応してしまう。
人間、数字に弱い。
■ 現金だって使いたくない
そして最後は現金である。
これはもう、最も分かりやすい。
現金があると安心する。
何かあったときに使える。
株が下がったときにも使える。
欲しいものが見つかったときにも使える。
だから、持っておきたい。
もちろん必要なものには使う。
家族のためにも使う。
旅行や食事など、使うことで価値が生まれるものにも使う。
それでも、
「まだ使わなくてもいいお金」
は、できるだけ手元に置いておきたくなる。
お金が減ると、少し寂しい。
増えると、かなり嬉しい。
これはもう、性格なのだろう。
■ たまに、潔い人を見る
そんな筆者なので、たまにSNSなどで、
「ポイントは全部運用に回しています」
という人を見ると、尊敬の念を覚える。
潔い。
ポイントが貯まった。
運用に回す。
終わり。
筆者なら、
「いや、でもせっかく貯まったポイントだし……」
と一度立ち止まる。
そして使い道を考える。
さらに悩む。
結果、ポイント残高だけが増えていく。
運用に回す人は、ポイントを「使うもの」ではなく「増やすためのもの」と割り切っている。
この潔さが、筆者にはまぶしい。
■ 貯めることと、使うことは別の能力
ここまで考えてみると、貯めることと使うことは、まったく別の能力なのかもしれない。
貯めるのが得意な人が、必ずしも使うのが得意とは限らない。
むしろ貯めるのが好きだからこそ、減らすことに抵抗が出てくる。
ポイントは貯めたい。
優待は使いたいけど、期限ぎりぎりまで持っていたい。
配当は嬉しいけど、再投資したくなる。
含み益は増えてほしいけど、売りたくない。
現金は使えるけど、できれば減らしたくない。
結局のところ、全部同じなのかもしれない。
持っているものを手放すのが苦手なのだ。
■ お金は「使って」初めて役に立つ
もちろん、貯めることは悪くない。
将来のために備えることは大切だし、投資を続けることにも意味がある。
でも、お金やポイントや優待は、持っているだけではできないことも多い。
ポイントは使って初めて買い物の足しになる。
優待は使って初めて生活をちょっと楽しくしてくれる。
配当金は使えば、その瞬間に何かを買ったり、経験したりする力になる。
現金だって、必要なときに使ってこそ役に立つ。
だから本当は、
「減った」
ではなく、
「使って価値に変えた」
と考えてもいいのだと思う。
……と、頭では分かっている。
分かっているのだが。
ポイント残高が増えると嬉しい。
配当金が入ると嬉しい。
現金が増えると安心する。
そして、できれば減らしたくない。
貯めるのが好きな人間にとって、「使う」というのは最後まで難しい課題なのかもしれない。
今日も筆者は、ポイント残高を眺める。
そして思う。
……もうちょっと貯めてから使おう。
たぶん、これが一番ダメなやつである。

