「ラテマネー」という言葉がある。
毎日のコーヒー代や、何気なく買っているお菓子、コンビニでのちょっとした買い物。ひとつひとつは少額でも、積み重なれば大きな金額になる。
だから、こうした支出を減らせば節約になる。
言いたいことはわかる。
毎日500円使えば、1か月で約1万5000円。1年なら約18万円だ。金額だけを見ると、確かに無視できない。
しかし、筆者は思う。
それ、本当にムダなのだろうか。
金額が小さいからムダなのか
ラテマネーの話では、コーヒー1杯のような小さな支出がよく取り上げられる。
毎朝カフェでコーヒーを買うくらいなら、自宅で淹れればいい。コンビニで飲み物を買うくらいなら、水筒を持ち歩けばいい。
節約の方法としては、合理的だと思う。
ただ、そこで少し気になることがある。
なぜ、コーヒー代はムダな支出として扱われやすいのだろう。
毎朝のコーヒーが楽しみな人もいるだろう。仕事に向かう前のひとときが、気持ちを切り替える時間になっている人もいるかもしれない。
そういう人にとって、コーヒー代は単なる飲み物の代金ではない。
もちろん、コーヒーを飲まなくても何も困らない人もいるだろう。惰性で買っているだけなら、見直す余地もある。
つまり、同じコーヒー代でも、その人にとっての意味は違うのだ。
それなのに、金額が小さく、毎日繰り返される支出だからという理由だけで、ムダだと決めつけてしまっていいのだろうか。
節約したお金で、何をするのか
仮に、毎日のコーヒーをやめて、年間18万円を節約できたとする。
では、その18万円をどうするのだろう。
貯金する。投資する。住宅購入や老後のために備える。
どれも立派な使い道だと思う。
一方で、好きな舞台を観に行くために使う人もいるだろう。旅行に行く人もいるだろうし、家族との食事を楽しむ人もいるだろう。
お金には、いろいろな使い道がある。
節約を勧める話では、支出を減らして将来に備えることが重視されがちだ。
もちろん、将来のためにお金を準備することは大切だ。使えるお金には限りがある以上、優先順位を考える必要もある。
しかし、将来のためにお金を残すことだけが、お金の正しい使い方なのだろうか。
今の生活を少し楽しくするために使うお金には、価値がないのだろうか。
筆者は、そうは思わない。
将来の安心も大切だが、今の生活も自分の人生の一部である。
節約したお金を何に使うのか。何のために節約するのか。
そこまで考えずに、ただ支出を減らすことだけを目標にしてしまうと、節約そのものが目的になってしまう気がする。
「ムダ」の基準は人それぞれ
筆者は、ポイ活をしている。
ポイントを獲得するためにアンケートに回答したり、サービスを利用したりする。少しでもお得に買い物をする方法を考えることもある。
こう書くと、いかにも節約好きな人間に見えるかもしれない。
実際、お得なことは好きだ。
でも、お得であることと、自分にとって価値があることは、必ずしも同じではない。
安く買えたとしても、必要のないものなら、結局はお金を使っただけである。
反対に、定価で買ったものでも、長く使えたり、生活を豊かにしてくれたりするなら、十分に意味のある支出だと思う。
これはコーヒー代にも当てはまる。
毎日のコーヒーが楽しみなら、それは本人にとって価値のある支出なのかもしれない。
反対に、飲みたくもないのに習慣で買っているなら、やめることでお金も時間も節約できるだろう。
大切なのは、何にお金を使ったかという事実だけではなく、その支出に自分が納得しているかどうかではないだろうか。
他人にとってはムダでも、自分にとっては必要なものがある。
他人にとっては有意義でも、自分には必要のないものもある。
その違いを無視して、世間でムダだと言われている支出を片っ端からなくしたところで、自分にとって満足できる生活になるとは限らない。
自分のお金を、自分の価値観で使う
もちろん、何でも好きなだけお金を使えばいいという話ではない。
生活費が足りないのなら、支出を見直す必要がある。将来に備えたいなら、今使えるお金とのバランスを考えなければならない。
そのうえで、何を削り、何にお金を使うのかを決めるのは、自分自身でいいはずだ。
ラテマネーを減らすことで満足できる人は、そうすればいい。
毎日のコーヒーを楽しみにしている人は、家計に無理のない範囲で楽しめばいい。
大切なのは、世間でムダだと言われているからやめることでも、節約できるのにもったいないから続けることでもない。
自分にとって、その支出がどんな意味を持っているのかを考えることだと思う。
お金は、使わずに残しておくことだけが正解ではない。
かといって、使うこと自体が正解でもない。
自分が大切にしたいものに、納得してお金を使う。
そして、自分にとって価値のない支出は見直す。
それでいいのではないだろうか。
ラテマネーは本当にムダなのか。
筆者は、金額だけでは決められないと思う。
ムダかどうかを決めるのは、世間の節約論ではない。
自分が何を大切にして生きたいのか。その価値観なのだと思う。
