投資を始めてから気づいたことがある。
それは、人は「儲けたい」だけではなく、「何かを買いたい」という欲を意外と強く持っているということだ。
証券口座を開く。
株価ランキングを見る。
SNSで「この銘柄が上がった」という投稿を目にする。
すると、急に自分も何か買いたくなる。
もちろん、冷静に分析した結果「買い」だと判断することもある。
でも正直に言えば、「なんとなく投資したい」という気持ちが先に来る日もある。
投資を始める前は、この感覚を知らなかった。
買い物をしたくなるのは洋服や家電くらいだと思っていた。
ところが投資を始めると、その対象が株になる。
「何か買いたい。」
そんな衝動が、証券口座の中にも現れるようになった。
欲しい株と、買える株は違う
個別株を見ていると、「いい会社だな」と思う銘柄はいくらでもある。
業績もいい。
配当も悪くない。
将来性もありそう。
それでも、自分の基準では買えないことがある。
例えば、高配当株なら利回りがまだ低い。
割高に見える。
「もう少し下がったら買いたい。」
そんな銘柄が、ウォッチリストには何社も並んでいる。
一方で、SNSでは「今買いました!」という投稿が流れてくる。
すると少しだけ心が揺れる。
「自分も買った方がいいのかな。」
そんな気持ちになることもある。
でも、そこで基準を曲げてしまうと、後から「あの時焦らなければよかった」と思う未来が見えている。
だから私は、自分で決めた基準はなるべく崩さないようにしている。
それでも「買いたい欲」は消えない
厄介なのは、理屈で納得しても感情は納得してくれないことだ。
「今日は何も買わない。」
そう決めても、証券口座を眺めていると何となく物足りない。
投資をしているのだから、何かアクションを起こしたくなる。
これは、投資を始めて初めて知った感覚だった。
もちろん、何もしないことも立派な投資だ。
頭では分かっている。
でも、「何か買いたい」という気持ちは、案外しぶとい。
そんな時はオルカンを買う
そんな日に、私はオルカンを買うことがある。
もちろん、毎月の積立とは別だ。
「今日は個別株を買わない。」
そう決めた日に、「じゃあオルカンを少しだけ追加しよう」と考える。
世界経済全体に投資する商品だから、「この会社で本当に良かったのかな」と悩むことも少ない。
「あの銘柄にしておけば良かった。」
そんな後悔も起きにくい。
個別株の代わりにオルカンを買う。
最近では、それが自分なりの感情との付き合い方になっている。
買ったという満足感も意外と大きい
不思議なことに、オルカンを追加で買うと、「今日は何もしていない」という物足りなさが少し和らぐ。
証券口座を見ると、ちゃんと資産が増えている。
「何か買いたい」という気持ちも満たされる。
しかも、その買い物は長期的な資産形成にもつながる。
もちろん、何でもかんでもオルカンを買えばいいという話ではない。
現金を残しておくことも大切だし、高配当株を買うための余力も必要だ。
それでも、「衝動的に個別株へ飛びつくくらいなら、オルカンを少し積み増す。」
この選択肢があるだけで、投資との付き合い方はずいぶん楽になった。
感情を否定しないようにしている
以前の私は、「買いたいと思う自分が悪い」と考えていた。
もっと冷静な投資家にならなければいけない。
感情を捨てなければいけない。
そんなふうに思っていた。
でも今は少し違う。
人間なのだから、買いたくなる日があるのは当然だ。
SNSを見れば心が動く。
株価が上がれば焦る。
魅力的な銘柄を見つければ欲しくなる。
そういう感情まで消そうとしなくてもいい。
大切なのは、感情をどう扱うかだと思う。
私にとってオルカンは、その受け皿になってくれている。
投資は、お金だけではなく感情との付き合い方
投資を続けていると、チャートの見方や企業分析よりも、自分自身のことがよく分かる。
焦りや欲、期待、不安。
そうした感情が、お金を通して見えてくる。
だから最近は、「買いたい」という気持ちが湧いても、それを無理に押さえつけようとは思わない。
「今日は個別株じゃなくてオルカンにしておこう。」
そうやって少しだけ方向を変える。
それだけで、後から「あの時、勢いで買わなくて良かった」と思うことが何度もあった。
オルカンは、世界中へ分散投資できる商品として人気がある。
でも私にとっては、それだけではない。
「買いたい欲」を受け止めてくれる、もう一つの役割も持っている。
投資は、お金との付き合い方でもある。
そして同じくらい、自分の感情との付き合い方なのだと思っている。

