投資をしているなら、含み益が増えるのは嬉しい。
これは間違いない。
含み益が増えている。
保有株の評価額が上がっている。
配当金ももらえる。
投資を始めたばかりの頃なら、証券口座を開くたびに嬉しくなっていたと思う。
ところが、ある程度投資を続けていると、たまに妙な瞬間がやってくる。
含み益は増えている。
持ち株も好調。
ウォッチリストに入れていた銘柄も上がっている。
なのに、
「……やることがない」
となるのである。
■ 上がるのは嬉しい
まず、誤解のないように言っておきたい。
株価が上がること自体は、もちろん嬉しい。
自分が持っている株が上がれば、含み益が増える。
配当目的で買った株でも、含み益が増えていくのを見るのは楽しい。
「この会社を買っておいてよかったな」
と思う瞬間でもある。
だから、株価が上がってほしくないわけではない。
むしろ上がってほしい。
できればずっと上がってほしい。
投資家として、こんなにありがたいことはない。
ただ、それと同時に困ることもある。
買えないのである。
■ ウォッチリストまで上がっていく
保有している株だけが上がるなら、まだいい。
「持っててよかった」
で終わる。
問題は、ウォッチリストに入れていた銘柄まで上がっていくことだ。
以前から、
「もう少し下がったら買いたいな」
と思っていた株がある。
株価をチェックする。
上がっている。
数日後、もう一度チェックする。
また上がっている。
さらに時間が経って、
「そろそろ買おうかな」
と思った頃には、さらに上がっている。
こうなると、非常に困る。
買えない。
いや、買おうと思えば買える。
でも、今の価格で無理に買う必要があるのかと考えてしまう。
そうして、またウォッチリストに戻す。
そして数日後。
また上がっている。
なんだこれは。
■ 「買いたい」と「買っていい」は違う
投資を始めたばかりの頃は、
「欲しい株があるなら買えばいい」
くらいに考えていた。
でも、投資を続けていると、少しずつ考え方が変わってくる。
「買いたい」と「今の価格で買っていい」は違う。
この差が大きい。
会社そのものは好き。
長期的には成長してほしい。
配当も魅力的。
でも、今の株価では自分が期待するリターンを得られるか分からない。
そう思ったら、待つしかない。
株は逃げない。
……とは言うものの、株価は逃げる。
こちらが待っている間に、どんどん上がっていく。
これが悔しい。
■ そして、暇になる
そんなことを繰り返していると、投資が急に暇になる。
保有株は上がっている。
だから売る理由もない。
むしろ、含み益が増えているなら、そのまま持っていたい。
買いたい株はある。
でも、価格が高くなってしまった。
だから買わない。
売らない。
買わない。
結果、
何もしない。
投資としては非常に正しいのかもしれない。
でも、やっている本人としては暇である。
証券アプリを開いて、
「今日も上がってるな」
と思って閉じる。
翌日も、
「また上がってるな」
と思って閉じる。
終わり。
■ 投資は「何もしない」が難しい
投資を始めた頃は、何かしたくて仕方がなかった。
株を探す。
チャートを見る。
決算を見る。
買う。
売る。
また探す。
とにかく動いていた。
でも、長期投資をしていると、むしろ「何もしない時間」のほうが長くなる。
本当は、それでいいのだと思う。
毎日売買する必要はない。
株価が上がったからといって利益確定する必要もない。
買いたい株が高ければ、無理に買う必要もない。
ただ待つ。
これが長期投資なのだろう。
頭では分かっている。
でも、暇なのだ。
■ 暇だからといって、買ってはいけない
ここで一番怖いのが、
「暇だから何か買おう」
となることである。
これはかなり危険だと思っている。
特に株価が全体的に高いとき、
「何か買わないと投資していない気がする」
という謎の焦りが出てくる。
でも、投資は買った回数を競うゲームではない。
毎月1回買わなければいけないわけでもない。
毎週新しい銘柄を見つける必要もない。
買う理由がないなら、買わない。
それでいい。
むしろ、何もしないという選択肢を持てることも、投資を続けるうえでは大切なのだと思う。
■ それでも買いたくなるなら
とはいえ、投資家も人間である。
株価が上がっているときほど、
「何か買いたい」
という気持ちが出てくる。
筆者の場合、そんなときは個別株ではなく、投資信託に目を向けることもある。
個別株は高くて買いづらい。
でも、長期で積み立てるつもりのインデックスファンドなら、毎月淡々と買うことができる。
「何か買いたい」という気持ちを、無理に個別株で満たす必要はない。
買うことそのものを目的にしてしまうと、いつか高値掴みをしてしまうかもしれない。
だったら、待つ。
そして、待っている間は別のことをする。
それが一番なのだと思う。
■ 投資が暇なのは、たぶん悪いことではない
最近は、含み益が増えても以前ほど大騒ぎしなくなった。
もちろん嬉しい。
でも、
「おお、増えてる!」
と思ったあと、
「で、何する?」
となる。
売らない。
買わない。
ただ持つ。
そして配当金を待つ。
これだけである。
でも、もしかすると、この「暇な時間」こそが長期投資の本体なのかもしれない。
投資で一番難しいのは、何かをすることではなく、何もしないことなのだから。
■ おわりに
含み益が増えるのは嬉しい。
これは間違いない。
でも、持ち株もウォッチリストの株も全部上がってしまうと、やることがなくなる。
買いたいけど高い。
売りたいわけではない。
だから待つ。
結果、暇になる。
なんとも贅沢な悩みである。
損をして暇なのではない。
儲かって暇なのだ。
そう考えれば、文句を言うのも少し贅沢なのかもしれない。
だから今日も証券アプリを開いて、
「お、また上がってる」
と確認して、
そっと閉じる。
……そして暇になる。
長期投資家、今日もやることなし。
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