株を買っていると、嬉しい悩みが発生することがある。
持ち株が上がりすぎて、買い増せない。
一見すると贅沢な悩みである。
含み益が増えているのだから、喜んでおけばいい。
実際、株価が上がれば嬉しい。
自分が保有している会社の株価が上昇して、資産額が増えていく。
投資をしていて良かったと思う瞬間でもある。
ところが、長く保有したいと思っている銘柄ほど、こういう状況になると困る。
「もう少し買いたかったんだけどな……」
という、なんとも複雑な気持ちになるのである。
買ったときは、こんなに上がると思っていなかった
株を買うときには、それなりに理由がある。
配当が魅力的だった。
優待が気に入った。
業績に期待している。
財務がしっかりしている。
自分の身近なところで事業をしている。
理由は銘柄によってさまざまだ。
そして、
「できれば長く持ちたい」
と思って買う。
ところが、しばらくすると株価が上がってくる。
最初は嬉しい。
含み益が増える。
評価額を見るたびにニヤニヤする。
ところが、さらに上がる。
「おお……」
さらに上がる。
「ちょっと待って」
そして気づく。
「これ、もう買い増せないじゃん」
含み益が増えるほど、取得単価が気になる
長期保有を前提にしていると、買い増しも選択肢になる。
配当金をさらに増やしたい。
保有株数を増やしたい。
株価が下がったタイミングで追加購入したい。
そう考えている。
ところが、自分が最初に買った価格から大きく上昇してしまうと、追加購入するのに少し勇気がいる。
例えば1,000円で買った株が1,500円になったとする。
「1,000円なら買いたいと思ったのに、1,500円で買っていいのだろうか」
となる。
もちろん、会社の価値がそれ以上に上昇しているのであれば、1,500円でも割高とは限らない。
しかし、筆者のような個人投資家にとって、心理的なハードルは確実に上がる。
「上がったから買う」はしたくない
ここで怖いのが、
「こんなに上がっているなら、まだまだ上がるかもしれない」
という気持ちで買ってしまうことだ。
いわゆる高値掴みである。
株価が上がっているときには、買いたくなる。
周りも買っている。
SNSでも盛り上がっている。
ニュースでも取り上げられている。
そうすると、
「今買わないと乗り遅れる」
という気持ちになってくる。
しかし、筆者はなるべくこの感情で買わないようにしている。
自分がその会社を買った理由と、今の株価を分けて考えるようにしている。
買えないなら、待てばいい
では、どうするのか。
筆者の場合、基本的には待つ。
非常に地味である。
でも、これが一番だと思っている。
株価は毎日動く。
今日高くても、明日下がるかもしれない。
数か月後には、また買いやすい価格になっているかもしれない。
もちろん、そのまま上がり続ける可能性もある。
その場合は、
「縁がなかった」
と考える。
全部の株を、自分が納得できる価格で買えるわけではない。
株価が上がったこと自体は喜んでいい
ここは矛盾しているようで、筆者の中では結構大事なところだ。
買い増せないからといって、株価が上がったことを悔しがる必要はない。
むしろ喜ぶべきだと思っている。
すでに持っている株の価値が上がっているのだから。
例えば100株持っている会社が大きく値上がりしたなら、その100株は以前より高い価値を持っている。
「買い増せない」というのは、あくまでこれから買う側の問題。
すでに持っている株主にとって、株価上昇は基本的に嬉しい出来事なのだ。
だから筆者は、
「上がって嬉しい」
と
「もう買えない」
を同時に感じている。
これが長期投資のちょっとしたジレンマなのだと思う。
「もっと買っておけばよかった」は禁物
株価が上がると、必ず思う。
「もっと買っておけばよかった」
これは投資家あるあるではないだろうか。
1,000円で100株買った。
その後1,500円になった。
「500株買っておけばよかった!」
と思う。
でも、それは結果を知った後だから言えることだ。
1,000円の時点では、その株が1,500円になるかどうかなんて分からない。
500株買って、そのまま800円になっていた可能性だってある。
だから筆者は、過去の自分を責めないようにしている。
「当時の自分が納得できる金額を買った」
それで十分だ。
資金管理も大切
そして、買い増しを考えるなら、余力を残しておくことも大切だと思う。
株価が上がっているときに、
「もっと買いたい!」
という気持ちだけで資金を投入してしまうと、その後の下落局面で動けなくなる。
反対に、ある程度の余力を残しておけば、
「今なら少し買ってもいいかもしれない」
という場面が来たときに動ける。
株式投資では、何を買うかだけではなく、
いつ買わないか
も重要なのだと思う。
それでも「何か買いたい」なら
とはいえ、個別株投資をしていると、どうしても買いたくなるときがある。
持ち株は好調。
だから買い増しにくい。
でも、現金を握っていると何か買いたくなる。
この「買いたい欲」、なかなか厄介である。
そんなとき、筆者には一つの逃げ道がある。
オルカンを買う。
個別株ほど「今買って大丈夫か?」と悩まなくていい。
毎月の積立設定に従って淡々と買う。
あるいは、余力があって「何か買いたい」という気持ちが強くなったときに、投資信託の買い増しに回す。
個別株を高値で追いかける代わりに、オルカンを買って買いたい欲を昇華してもらうのである。
これなら、
「何か買ったぞ!」
という満足感も得られる。
そして、個別株の価格が自分の納得できる水準になるまで待てる。
筆者にとっては、なかなか便利な仕組みである。
おわりに
投資を始めたばかりの頃は、
「株価が上がったら嬉しい」
それだけだった。
しかし、長く持ちたい銘柄が増えてくると、株価上昇には別の悩みもついてくる。
「嬉しい。でも、買い増せない。」
そんな贅沢なジレンマだ。
だからといって、上昇している株を焦って追いかける必要はない。
自分が買った理由を思い出す。
今の会社の状況を見る。
納得できる価格になるまで待つ。
どうしても「何か買いたい」という気持ちが抑えられなくなったら、オルカンを買う。
そして、すでに持っている個別株については、ゆっくり含み益を眺めておく。
株式投資では、買うことだけが投資ではない。
買わずに待つことも、立派な投資行動なのだと思う。
……とはいえ、持ち株が上がりすぎて買えないのは、やっぱりちょっと寂しい。
嬉しいんだけど、困る。
困るんだけど、嬉しい。
個人投資家とは、なかなか贅沢な生き物である。
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